(vol.1(前編)株式会社縁溜 佐藤 将貴氏:「里山マウンテンバイクツーリズムやガイド支援を通じて風景・絶景を広める」から続く)
2023年9月に「立山冒険ライド」というツアーをスタートされました。このツアーについて教えていただけますか。
「立山冒険ライド」は冒険を通して立山信仰の魅力を体験していただくコンセプトのツアーです。
もともとは「あわすのスキー場感謝祭」というイベントの企画としてやっていた特別なツアーなのですが、2023年9月上旬から11月中旬まで開催することになりました。
それまでは立山町の大観峯自然公園周辺をツアーの拠点としていたのですが、2023年夏の豪雨による土砂崩れや崩落で、ツアーで使っていた道が利用できなくなりました。そこで、この状況でできることは何かと考えて、これまで好評いただいていた特別ツアーを「立山冒険ライド」という名前にして、楽しんでいただくことにしたんです。
立山信仰について学んだり体験できる内容になっているんですね。
「オワコン」を「ゾッコン」変える際、既にその地域にあるものを活かすことがポイントになります。立山には神秘的な場所や立山信仰の歴史があるので、これらをコンテンツ化して楽しんでもらおうと考えました。
このツアーでは、市販のガイドブックや観光マップには載っていないようなスポットにもご案内します。
もともと立山信仰についてお詳しかったのですか。
いいえ、全く!「あわすのを魅せ伝えるガイドツアーはどうやったら創れるか?」という問いから、徹底的に古道や林道のフィールド調査をし、直接人から話を聞いたり、地域に関連する歴史資料や文献を読みこんで勉強しました。
そうした活動をする中で、立山信仰について語り継がれている有名な話もありますが、一般的には知られていないエピソードや伝説、驚くような歴史的な出来事、隠れた史跡といった「裏歴史」もたくさんあることが分かりました。ガイドツアーに参加いただく方には、そういった普段は手に入らない情報もお伝えしています。
「隠された立山信仰を暴く体験型ツアー」と紹介されていますが、例えばどんなスポットがあるのでしょうか。
例えば「一見普通の道に見える、実は過去に〇〇が行われていた場所に繋がっている道」とか、「登拝ではなく遥拝を主としていた古代立山の山岳信仰の聖地として見逃せない場所」などです。
歴史や信仰に興味を持つ人が普段はできない発見や学びができるような体験を用意しています。
そして2023年10月には「立山冒険ライド」がツアーガイドアプリにもなりました。
はい、前述したように「自分がいなくても地域の文化遺産を人々に楽しんでもらいたい」という想いがあり、自分のツアーに参加されない方にも立山での冒険を楽しんでもらえるようにと、スマホアプリコンテンツを制作しました。
アプリユーザーがスポットに訪れる際の体験にもこだわっていて、秘密のメッセージを用意しているスポットに関しては、現地に行ってスタンプを押したタイミングで裏歴史や熱いメッセージを読めるようにしています。
ちなみに、自分がガイドするツアーだと、より冒険を求める方がいれば、安全面を担保したうえで少しドキドキする道や険しい道にお連れすることもあります。
一方、このアプリでは立山道に詳しくない方でも安全にまわれるような考慮をしています。お客様のご希望やご状況に応じて、ツアーでまわるか、アプリだけでまわるかを選んでいただければと思います。
ツアーでもアプリでも、「冒険」と「裏歴史」を楽しめるのがポイントですね。
里山の美しさに魅了されて移住したツアーガイドならではの視点で、ツアーにもアプリにも、エッセンスをたくさん詰め込んでいます。
E-BIKEで冒険しながら立山の裏歴史や絶景に触れるという濃い体験を楽しんでもらえるとうれしいです。
最後に、本ツアーガイドアプリに期待していることがあれば教えてください。
より多くの方々に立山での冒険を楽しんでもらうことはもちろんですが、このアプリを通じて、日本全国にいるガイドの仕事に興味を持っている人に「そもそもガイドがどんな企画やコースをつくっているのか」を見てもらえたらと思っています。
「自分もこんな風に自分の地域をガイドしたい」と思う人が現れてくれれば、このアプリの「裏目的」も達成です!
貴重なお話をありがとうございました!
ヒッチハイクで日本1周をしたあとに、機械設備の技術営業職からキャリアをスタートさせた佐藤さん。
立山に移住後は、里山に魅了された”ヨソモノ”として挑戦を続け、その活動が県内外から注目されています。
イー・フォースでも、地域の「自転車」×「観光」の活動をデジタル面からお手伝いしてきます!