サイクルツーリズムとアートは相性が良い?観光マッチングガチャも展開!芦原(あわら)温泉編

芦原温泉エリアでE-BIKEを楽しむ人々

2024年3月16日に北陸新幹線が福井県の敦賀まで延伸されました。今回は延伸された福井の玄関口となる芦原温泉駅を訪れ、E-BIKEを使った取り組みについてレポートします。

目次

北陸屈指のあわら温泉

ホテル八木


あわら温泉は福井県北部に位置し、東京から北陸新幹線で約3時間、大阪からは約2時間半の場所にあります。芦原温泉駅は東京から向かうと、福井県で最初に到着する駅です。あわら温泉の開湯は今から140年前で、新幹線の駅からはタクシーで約10分の場所にある、立派な老舗旅館が立ち並ぶ北陸有数の温泉街です。

今回の滞在はホテル八木さんにお世話になりました。今回のツアーガイド八木司さんはホテル八木の支配人で、時代に合わせてホテル事業においてさまざまな改革に取り組んでいます。

その一つがスイーツです。ウェルカムスイーツから朝晩のビュッフェで提供されるスイーツまで、どれも温泉旅館とは思えない高級レストラン並みのクオリティでした。

八木さんのわらび餅

 MYNKSの「あわら観光マッチングガチャ」

あわら観光マッチングガチャ

八木さんは今回のE-BIKEツアーを主催する一般社団法人MYNKS(ミンクス)のメンバーでもあります。 MYNKSは4人のメンバーで運営しているまちづくりの団体で、あわらの街を盛り上げる活動を積極的に行っています。

活動の一環である「あわら観光マッチングガチャ」はとてもユニークな取り組みです。お金を入れてガチャガチャを回すと、あわら愛が強めの市民の方々が缶バッチで登場し、付属のQRコードを読むと、あわらのディープスポットを紹介してくれる動画が再生できます。

八木さんいわく観光地の課題の一つとして情報の非対称性があり、地域の魅力や穴場スポットなどが初めて訪れる観光客に十分に伝わりきっていないそうです。そこで本施策では、ただチラシを置くのではなく、地元のキャラが濃い方々にゲーム感覚でPRしてもらうことで、情報を拡げようとしています。このガチャの取り組みは、観光客への情報提供に加えて、地域コミュニ ティとのタッチポイントにもなる素敵なアイデアだと思いました。

ファットバイクを使ったE-BIKEツアー

ファットバイクで移動する一同

では、そろそろ本題のE-BIKEツアーの話に移りましょう。今回のツアーはあわら温泉駅のアフレアにあるあわらぐるっとレンタルで電動アシ スト機能付きのファットバイクをレンタルするところからスタートです。今回のツアーでは最初にあわら市郷土歴史資料館、次に金津創作の森の美術館の2箇所のスポットに立ち寄ります。

ツアーをスタートしてまず驚いたのは電動ファットバイクのパワーです。時速24kmのアシストリミッターはあるのですが、とにかくパワーが凄く、タイヤが太いこともあり安定した走行ができました。これなら誰でも楽に乗りこなせそうです。

最初に訪問したあわら市郷土歴史資料館はあわらの歴史と文化を紹介する無料の資料館です。あわらでは度々縄文式土器が発見されています。海の近くということもあり古代から栄えていた土地だったことが伺えます。

少し話がずれますが、幕末の四賢侯と言われた越前(福井)藩主の松平春嶽は日本で最初にリンゴの栽培に取り組んだと言われています。あわらは他にも、メロンや柿の生産も盛んです。また、春嶽が自転車を最初に日本に持ち込んだという記録もあり、福井は自転車とつながりがある場所なのです。

金津創作の森で自然とアートを楽しむ

淺井裕介展 星屑の子どもたち

ツアーの2箇所目の立ち寄りスポットは「金津創作の森美術館」です。広大な敷地の中には美術館だけではなく、創作工房やアトリエ、アーティストの住居もあります。自然の中で創作活動を行うことをコンセプトとしています。訪問時には「淺井裕介展 星屑の子どもたち」が開催されていました。

淺井裕介は、土や石、水、テープなど身近な素材を用い、マッチ箱から50mを超える壁画まで、 アートプロジェクトにおけるインスタレーションへの取り組みなど、受け止める場所や環境にしな やかに呼応して奔放に描きます。
本展は、「あらゆるものは変化を続ける」をキーワードに、滞在制作型の泥絵作品をはじめ、100 点を超える陶器の立体作品や土そのものを見つめるような抽象絵画への挑戦など、五感を通じて 見るものに身近な日常を再認識させるような作品を展示します。多様な生き物や無生物も全てが この星から生まれてこの星に還っていくという、淺井が創造する命の形が創り出す、さまざまな 物語と、これらが相互に呼応して織りなす神話的な世界を体感ください。

引用:金津創作の森「淺井裕介展 星屑の子どもたち」
金津創作の森

森の中にはさまざまなアート作品が自然と調和して展示されており、土を素材にした淺井さんの作品も自然と融合し森に溶け込んでいました。どこにあるのか探さないと気づかないような、木の上に置かれた小さな作品もあります。ツアーガイドの八木さんは「アートは気づきを与えてくれる」と仰っていましたが、気づきはさまざまなアイデア創出にとても重要だと感じました。

「都会の人は無関心」とよく言われますが、実はそういうわけではなく、情報が溢れているためにオーバーフローが起きていて、結果的に自分に関心がある情報だけを取り込みがちになっているのです。あわらは都会では得られない小さな「気づき」をたくさん与えてくれました。

サイクルツーリズムの課題感

今回のツアーは現地でさまざまなひとと触れ合えたことが一番の収穫でした。あわらの人々の強い地元愛とエネルギーを感じることができました。

現地の方々とお話を聞いた課題感としては、情報格差です。とりあえずE-BIKEは用意したという自治体は多いのですが、これを活用しきれていません。それはE-BIKEを利用するためのコンテンツ(ツアー企画やテーマなど)や情報提供が不足しているからではないでしょうか。あったとしてもそれが自転車で地域を周遊するのに適しているのかも考える必要があります。

カタチのある「モノ」は写真などである程度伝わりますが、体験や地域のコミュニティとの交流といった「コト」は実際に体験してみないとその良さが伝わりきりません。あわらに限らずこれはどこの地域でも共通する課題ではないでしょうか。

オウンドメディア「HaNeRi」ではサイクルツーリズムに関する情報や、各自治体やパートナーのお取り組みなどを紹介しています。ぜひ、課題解決のヒントにお役立てください。

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